『Pa-Pa-Paザ★ムービー・パーマン タコDEポン! アシHAポン!』あらすじ（ネタバレ）
（ナレーション・中江真司 セリフ・安原義人）
［ごく普通の小学生、須羽みつ夫は、スーパー宇宙人バードマンによってパーマンに任命され、世界平和のために日夜悪と戦うのだった。時速１１９キロで空を飛び、力は６６００倍、ＩＱは…据え置き。そして。
『パーマンの正体は絶対に秘密だ。バラしたら、動物にしちゃうぞ！』］
日本から南方に離れた常夏の島。噴火口を残す死火山と、周囲に点在する小島が、どことなくタコを思い出させる。この島に、星野スミレはお忍びのバカンスに来ていた。しかし、油断してサングラスを落としたところを、日本からの観光客に見られてしまう。早速サインを頼まれるスミレ。にこやかに答えてその場を離れる。
（どこへ行っても、何をしていても、みんなに特別な目で見られちゃう）
これでは日本にいるのと何も変わらない。バカンスを楽しむため、スミレはもう一人の自分に「変身」することにした。電話ボックスに飛び込むと、パー子ことパーマン３号になる。そのまま彼女は飛び立った。
３号が降り立ったのは人気のない入江。すぐにセットを解くと、思う存分自由を楽しむ。だが、その自由は長く続かなかった。
波打ち際で遊んでいたスミレは、赤くて丸い物が砂に埋まっているのに気付く。つまみ上げると、頭にアンテナをつけたタコが釣り上がった。作り物のようだ。いぶかしげに弾力のある表面をつかむ。
「ヤバイ、見られた！」
突然、背後から叫び声が上がった。見ると、ほっかむりにアロハ姿の男たちがうろたえている。手にタコたちを抱えている。
「これ、落としましたよー」
スミレがタコを掲げながら呼びかけると、男たちはますますあわただしくなった。スクリーン状の機械を作動させる。電磁波のせいか、辺りの空気が歪み、埋まっていたタコがスクリーンに吸い付けられていく。間にいるスミレは障害物となってしまった。瞬く間にタコに埋まり、身動きができない。男たちはタコごとスミレも回収しようとする。力を振り絞り、スミレは持っていたバッグに入ったコピーロボットの鼻を押した。
コピーには気がつかず、男たちは引き上げていった。幸い、バッグに入っていたパーマンセットは無事だ。コピーはパーチャクすると、スミレの行方を捜し始めた。
その頃、日本ではパーマン１号、２号、４号が一仕事終えたところだった。常夏の島とは違い、こちらは雨模様だ。風邪気味な１号が早々に帰ろうとしたところに、３号の通信が飛び込んできた。雑音混じりで良く聞こえないが、オタコ島で星野スミレが誘拐されたと聞かされた１号は、興奮して飛び出していった。２号も慌てて追うが、４号は用事を思い出したとかで、後で追い掛けるという。彼に構わず、二人はオーダコ島に向かった。
目を覚ましたスミレは、自分が寝室のような場所にいるのに気がついた。内装はドレッシーだが、窓がない。いつの間にか、白いドレスを着せられている。その時、部屋の扉が開き、一人の男が姿を現した。白衣を纏った中年男性で、手に黄色いタコを持っている。本人もどことなくタコに似ているようだ。男はスミレに非礼をわびると、丁寧に自己紹介した。
名はドクトル・オクト。彼はこの島で、「世界征服」のための事業を行っている。さっきのタコはその計画の一部らしい。それを見たスミレを帰すわけにはいかない。というのだ。スミレは自分が籠の鳥になったことを理解した。
ようやく島に到着した１号と２号のところに、コピー３号が駆け寄ってきた。スミレ恋しやの１号は、コピー３号の説明など聞きゃしない。ようやく説明を聞くと、今度は「なぜパー子がスミレちゃんと一緒にいたんだ」と詰め寄る。「タコもタコだよ、パー子をさらえば良かったのに」とまで言われ、怒ったコピー３号は、一人でスミレ捜索に向かってしまった。１号と２号も、海と山に別れて捜索を開始する。
海岸に向かった１号は、早速怪しげな洞窟の入口を発見した。２号と、「一応」３号に通信を入れるが、コピー３号はまだ怒っている。２号はといえば、山でバナナの楽園を発見し、メス猿と恋に落ちていてそれどころではない。待ちきれない１号は、単独で捜索に向かった。しばらく進むと、怪しげな入口を発見した。
「ここは何かの秘密基地……って、書いてあるし」
呆気にとられる１号だが、その時、頭上からアンテナをつけたタコが落ちてきた。ドクトル・オクトが待ち伏せていたのだ。１号は反撃の機会も与えられないまま、タコの山に押しつぶされた。
部屋で助けを待ち続けるスミレの前に、ドクトル・オクトがやってきた。全悪連のドン石川と、子分二人も一緒だが、スミレは彼らの正体を知らない。子分たちが伸びている１号を引きずっている。
彼らはマントとマスクを奪うと、墨だらけのみつ夫を残して立ち去った。ただの少年に戻った１号の正体を詮索する気はなかったらしい。
スミレに起こされたみつ夫は、マントとマスクを奪われたのに気付かずにパーマンだと名乗ってしまい、うろたえる。「誰にも言わないから」とスミレが言ってもなんの足しにもならない。「バードマンは怖いんだ」と毛布を被って震えるばかり。そこに、コピー３号の呼び出し音が響いた。バッジは墨で服と同化していたため、オクトたちも見落としたのだ。スミレが出るよう促すが、みつ夫はバッジを投げ出し、言い捨てた。
「いいさ、僕はもう、パーマンじゃない」
一方２号は、メス猿ロコとの甘いひとときを楽しんでいた。そこに、頭にタコを着けた猿たちがやってきた。明らかに正気ではない。スミレの誘拐事件と関係があるとにらんだ２号は、猿たちを蹴散らす。実はドン石川たちが、密かに実験を行っていたのだ。２号に気付き、慌ててタコを回収するが、２号はその一体を必死で掴み、手がかりを手に入れた。誰も敵わなかったタコをうち負かした２号は、猿の群れのリーダーとして迎えられる。
「どうしていつも、ケンカしちゃうんだろう……」
その頃、コピー３号はそそり立つ岩場で一人膝を抱えていた。ようやくバッジが鳴り、喜び勇んで取ってみると、４号からの呼び出しだった。とりあえず合流することにする。
秘密基地に戻ったドン石川たちは、「世界征服計画」の全貌について教えるよう、オクトに詰め寄るが、頭にタコロボットをつけられてしまう。オクトの計画とは、「人間タコ・デ・コーントロー・ア・ロールシステム」で、世界中の人間を意のままに動かすことだった。そのためには、大量のタコロボットが必要だ。夜を待って、次の作戦が始まる。
４号は情報収集と商売を兼ねて観光客相手のたこ焼き屋を開いていた。合流したコピー３号は状況を必死に訴えるが、その時、海上からタコロボットの集団が上がってきた。タコは次々に人々の頭に取り着いていく。４号はとっさの機転で、自分とコピー３号の頭に食材のタコをかぶせる。難を逃れた二人が見たものは、ムード音楽風の音楽に操られてジャングルに向かって進む住民の群れだった。
その頃、みつ夫は相変わらずベッドでいじけていた。スミレは、自分に言い聞かせるように話し出す。「普通の女の子」でいられない自分の立場。それをあきらめてもやりたい事。
「いつか立派な女優になって、たくさんの人に夢や希望を伝えたい。パーマンは、なんのために頑張るの？」
「僕は、よく分からないけど、みんなが『ありがとう』って喜んでくれると嬉しくて、どんなに苦しくても頑張れるんだ」
「本物の正義のヒーローね」
スミレの言葉は感嘆に満ちていた。だが、みつ夫はすげなく言う。
「そうだといいんだけれど……もう無理だよ、マスクもマントもないし」
「マスクとマントがないとパーマンじゃないの？」
スミレは投げ出されたバッジを拾うと、みつ夫に差し出した。
「パーマン１号の心は誰にも取られてないわ」
みつ夫ははたと気付いた。自分の仕事はまだ終わっていないのだ。まずは、仲間たちに現状を伝えなければならない。みつ夫はバッジを受け取ると、スイッチを入れた。
ようやく連絡が取れた四人。みつ夫がスミレを引き受け、残りは島の人々の救出に向かう。
「僕が必ず悪者をやっつけて、君をここから助け出す」
「うん、約束よ」
みつ夫の声は完全にパーマンモードに戻っている。二人は指切りした。
なんとか「秘密基地」に潜入した４号とコピー３号が見たものは、タコロボットを作らされる島人たちだった。コントロールの元になっている機械を壊し、島人たちを脱出させる。しかし、オクトたちは完成分のタコロボットと共に逃げおおせてしまった。ついでにスミレもさらっていく。駆けつけた４号たちが見つけたのは、部屋に取り残されたみつ夫だった。
そのうちにも、「秘密基地」はどんどん崩れていく。いつの間にか夜は明け、脱出したパーマンたちの前に、巨大要塞と化したタコが浮かんでいた。要塞はそのままタコロボットを全世界に発射する。必死に抵抗するスミレだが、縛られていては太刀打ちできない。
「あなたはタコを着けずに私のアマンに、恋人に」
どうやらオクトもスミレの魅力にはまってしまったらしい。もちろん、スミレとしては願い下げだ。
その時、パーマンたちの逆襲が始まった。地上からは、２号に率いられた猿軍団が、上空からコピー３号と４号が支援する。
スミレを救出するため、みつ夫は自らタコ要塞に取り付く作戦を提案する。最初は止める４号だが、みつ夫の勢いに押されて同意する。みつ夫は超人的な粘りでコクピットにたどり着くと、スミレを救出しようとする。オクトは１号のセットを着けて抵抗しようとするが、マスクを着けたところでバランスを崩し、自滅する。マスクを取り戻し、マントを着け、名実共にパーマンに戻った１号は、スミレを抱きかかえて脱出する。オクトもドン石川たちもパーマンたちに捕まり、要塞は堕ちようとしている。だが、これで終わりではなかった。
タコロボットはコントロールができなくなると、８分後に爆発するというのだ。止めるには、オクトが持っていた黄色のタコに付いた起動スイッチを押すしかない。だが、そのスイッチは要塞の中だ。しかも、駆けつけてきた（米軍？）艦隊が、事情も分からず要塞を撃墜しようとする。１号は矢も楯もたまらず飛び出し、要塞の中から黄色のタコを拾い上げ、スイッチを止める。
「そのまま電離層、いや、宇宙へ放るんや！」
４号の言葉を受け、１号はそのまま上昇する。
一方、コピー３号とスミレは、空中でランデブーしながら記憶のロードをし、セットを入れ替える。そこに、前触れもなくバードマンが現れた。一瞬で二人の服を入れ替えると、３号に言い放つ。
「スミレちゃん（コピー）は私が引き受けた。急げ！ １号の元へ」
もとよりそのつもりだ。３号は上昇し、１号に呼びかけた。１号は助けを断ろうとするが、３号はきっぱり答える。
「パーマンは、一人じゃないのよ」
パータッチした二人は、そのまま上昇した。８分後、タコは外れたが、爆発はしない。作戦は成功したのだ。
下界で気をもむ２号と４号をよそに、３号は１号に尋ねていた。
「ねえ１号、私がさらわれても、助けに来てくれる？」
「ウッヒャヒャヒャ、パー子がさらわれる訳ないじゃん」
「なんですって！」
すっかりいつもの二人に戻っていた。
夕刻。スミレがさらわれた入江に、パーマンたちとバードマンの姿があった。
「まぁなんだ、色々あったようだが、事件解決したから全て大目に見る。そんじゃね」
大意としてこういう内容のことを言われ、１号は拍子抜けした。マスク以外は普通の人と変わらない格好だし、このおっさん、いまだに真意がつかめない。だが、これだけははっきりさせておかなければ。
「僕、スミレちゃんに顔見られちゃって」
「ああ、それね」
バードマンは勿体ぶる。
「大丈夫だよ、たぶん。細かいことは気にするな。いずれ分かるから」
なおも食い下がる１号に、バードマンは砂浜を指した。コピースミレが立っている。１号は飛び上がって駆け寄った。反動で海中に落とされるバードマン。
すっかりスミレといいムードの１号。別の場所では、２号とロコも負けじと熱々だ。やり場のない嫉妬をたぎらせている３号に、４号がささやいた。
「パー子はん、１号はんのこと、好きやろ」
３号は赤面した。
